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ピロリ菌と戦う


今年の夏、胃の内視鏡検査をしてもらったところピロリ菌が見つかったと言われた。ピロリ菌という名は聞いたことがあるが、それが人体にどのような影響を及ぼすかまでは知らなかったので、医師に聞いてみたら、がんになるリスクが高くなると言われた。でも心配することはない、薬を服用することで簡単に除菌することが出来るから、この際除菌しておきましょう。幸いなことに、除菌治療について今年の春から保険が適用されることになったし、除菌しない手はありませんよ。こういわれては、しないわけにはいかない。

こういうわけで、薬剤によるピロリ菌の除菌治療を始めることとなった。服用する薬剤は三種類の組み合わせで、市場ではランサップと言う名前で流通している。これは二種類の抗菌剤(クラリスとアモリン)及び胃酸抑制剤(タケプロン)の組み合わせで、一日二回七日間服用する。通常はこれで80パーセントのケースが除菌できるという。それで除菌できない場合は二次除菌する必要がある。二次除菌にも保険は適用されるそうだ。

服用してたった三日で、顕著な効果が現れるのを感じた。

まず、便の色。汚い話になるが我慢して読んでもらいたい。筆者の便はだいたいが褐色系で、黒みがかった褐色になる場合が多かったのであるが、それが薬剤服用後三日目くらいから、黄色みがかった色に変ってきた。ものの本によると、便の色は黄色みがかったほど健康だという。だからこれは筆者の腸内が健康度を増している証拠ではないか。ということはピロリ菌除去の効果が現れている証拠ではないか。そんなふうに思われたところだった。

二つ目には、便通の変化。筆者はどちらかというと下痢体質で、毎日便通がある代わりに、日に何度もトイレ通いをする。それが改まった。相変わらず便通は毎日あるが、下痢のような症状はなくなった。これもピロリ菌が退治されている証拠ではないか。

こんな具合で、薬剤によるピロリ菌退治は順調に進んでいるとばかり思っていた。その結果が出るのは一か月後。検便によって確認する。上述のような次第で、すっかりピロリ菌退治に成功したことを疑わない筆者は、服用終了後一か月の時点で便を採取して、病院の検査部門に持ち込んだ。その結果はいかに。

筆者にとって非常に意外なことに、ピロリ菌は退治されていないという結果が出た。そのことを医師から知らされて、どういうことなのだろう、と筆者は思った。しかしそう思ったところでどうしようもない。もう一度やり直しと言うか、二次除染をするほか手はありませんね、と医師はいう。そういわれては、しないわけにはいかない。

というわけで、薬剤による二次除菌をすることになった。今度用いる薬剤は、基本的には一時除菌に用いた組み合わせのうち、クラリスをフラジールと言う薬にかえただけなのだが、それでも服用にあたっての心構えが全く違う。一時除染に際しては、特に留意すべき点はなく、ごく気軽に服用できたものが、今度はそうはいかない。服用期間中アルコールはご法度だというのだ。アルコール好きの筆者としては、これは重大な留意事項だった。

筆者は、成人して以来これまでの間に、一週間以上禁酒したことは一度しかない。さる病気治療のために大手術をして、二週間ばかり禁酒したのがそれだ。それ以外の長い年月の間、ほぼ毎日アルコールを飲んできた。それがピロリ菌を除菌するという目的のために、一週間も禁酒しなければならない。これは、筆者にとって重大事態というべき事態に違いなかった。しかし命には代えられない。少しでも長生きできるのであれば、一週間禁酒するくらい、何程のことでもなかろう。

そういうわけで、二次除菌に取り組み、昨日終了したところだ。一時除菌と二次除菌とで顕著な違いが感じられたのは、脈拍だった。一時除菌の時は脈拍が早くなったのが、二次除菌では逆に低くなった。これは、クラリスには脈拍を早くする作用があり、フラジールには逆に遅くする作用があるということか。また、二次除菌では、血圧が若干低くなったように感じられた。そうたいした変化ではないのだが、これもフラジールの作用なのだろうか。

かくして今日は、一週間ぶりでビールを飲んだ次第だ。あと一か月後には再び便を採取して検査してもらうことになっている。その結果やいかに。果してどうなることやら。






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