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人間に必要な睡眠時間は最低7時間


人間にはどれくらいの長さの睡眠時間が必要なのか。一昔前までは、4時間乃至5時間で十分だという説も流通していた。日本のことわざに四当五落というのがあるが、これも睡眠に関する経験的なデータをもとにしていたのではないかと思われるし、ナポレオンに至っては一日に三時間熟睡できれば、高度に知的な生活を維持できることができたといわれる

だが実際には、毎日五時間の睡眠で高度に知的な能力を維持できる人々はごくわずからしい。多くの人々は一日につき八時間前後の睡眠を必要としている、こんな研究結果を、ニューヨーク・タイムズが紹介している。How Little Sleep Can You Get Away With?

ペンシルヴァニア大学睡眠研究所のデヴィッド・ディンジーズ(David Dinges)博士のグループは、睡眠時間を4時間、6時間、8時間のグループに区分けし、14日間について、Psychomoter Vigilance Task という手法を用いて、それぞれの認知能力を比較した。

すると、4時間のグループでは、ほとんどのメンバーが、実験当初から著しい認知障害を示した。6時間のグループでは、最初の二三日間は殆どのメンバーが認知障害の兆候を示さなかったが、日を追うにつれて、注意力緩慢などの認知障害を示すようになった。

これに対して8時間のグループは、ほとんどのメンバーが、14日間にわたって、何らの認知障害をも示さなかった。

ここからディンジーズ博士のグループは、人間にとって必要な睡眠時間は、6時間では足らず、8時間では十分だという結論を導いた。では7時間ではどうか。

ディンジーズ博士の同僚ベレンキー(Gregory Belenky)博士が、その結論を導いた。ベレンキー博士の最近の研究によれば、7時間の睡眠をとることで、認知障害は見られなくなるという。このことはアメリカ人の平均睡眠時間が約7時間である事実に、大いに符合している、ということだそうだ。

ところで睡眠行動というのは単純なものではなく、日によっては寝不足のこともあるし、また寝だめといって、普段より多く寝ることもある。徹夜などで深刻な寝不足に陥った場合、どれくらい長い時間寝なおさなければならないか、それは個人によって差があるそうだ。

また、日照や騒音など、睡眠以外に認知能力に影響する要因もあるので、寝不足と認知能力の維持とは、複雑な要因を通じてかかわりあっているようだ。






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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2013
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