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スペインはバルセロナの病院で顔の全面移植が成功したそうだ。事故で顔がメチャクチャになってしまった人に、死んだ他人の顔を移植し、それに血を通わせることによって、生きた顔を甦らせたのだ。 顔の一部移植はいままでにも世界中で10例ほど報告されている。だが全面的な移植は初めてのことだ。この手術を執行したのはバルセロナのヴァル・デブロン Vall d'Hebron 病院のバレ Joan Pere Barret 医師らのグループ。30人の医師団が24時間かけて行った。 手術を受けた患者は30歳の男性で、5年前に誤ってショットガンを自分の顔に打ち込み、眼から下の部分が粉みじんに吹き飛んでしまった。その結果、鼻、口、咽喉などが欠損し、食べることも呼吸することも匂いをかぐことも、またしゃべることもできなくなった。まぶたも大きく損傷したが、視力だけは奇跡的に失わずにすんだ。 この男性に死んだばかりの他の男性の顔を移植した。死んだ男性の顔の骨格と筋肉組織、神経組織（まぶたを含む眼から下の部分全体に相当する）をセットにしてえぐりぬき、それをまるごとこの男性の顔面に埋め込んだ。まるでマスクを付け替えるように。 手術は成功、いまのところ男性はまだ食べたり自力で呼吸するまでにはいたっていないが、一週間後には普通の人間の顔と同じ機能を果たせるようになるだろうといわれている。この男性は新しい顔で、新しい人生を歩みだすことだろう。 それにしても顔を取り替えるとはショッキングな出来事だ。ジョン・トラボルトとニコラス・ケイジが演じた1997年の映画 "Face/Off" の世界が絵空事ではなくなったわけだ。 （上の写真はAP提供） |
