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スーパー耐性菌NDM-1:独協医大病院から検出



先日このブログで多剤耐性菌について紹介した。そのさい究極の耐性菌として、あらゆる抗生物質が効かないスーパー耐性菌について言及したが、その厄介な代物が国内の病院で初めて検出された。

埼玉の独協医大病院の患者から検出されたNDM-1と呼ばれる遺伝子を持つ耐性菌は、ほとんどの抗生物質に対して、耐性があるとされる。耐性があるとは、要するに、薬が効かないということだ。

NDM-1とは Delhi Metallo-lactamase-1の略だ。そこから連想される通り、インドなど南アジアが発祥地とされる。近年インドからヨーロッパに進出し、恐れられるようになっているそうだ。今回のケースの患者もインドへの渡航歴があった。

この遺伝子は大腸菌などの体内細菌に組み込まれた形で存在する。というより普通の大腸菌が、抗生物質の不適切な使用などをきっかけにして、突然変異したものだと考えてよい。そのままでは人体に急迫した影響は及ぼさないが、肺炎などの病気になった時には、抗生物質を無力化することを通じて、危険な効果を発揮することが知られている。

通常は土壌中に存在し、人体にはほとんど影響を及ぼさないアシネトバクターに比べると、潜在的な脅威が大きいといえる。もしもなんらかの連鎖によって、人から人へと広がるような事態が生じると、たちの悪い感染症になる危険がある。

上の写真(AFP提供)は、NDM-1遺伝子を組み込んだ細菌を培養している光景。






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