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パレオダイエット(Paleo Diet)



飽食時代の今日、肥満を気にする人々の間でパレオダイエットが人気を集めているそうだ。パレオダイエットのパレオとは Paleolithic のパレオのことで、要するに旧石器時代の人類が食べていた食事という意味だ。我々現代人と違って彼らは肥満とは縁がなかった。肥満するほど大量の食事をとらなかったこともあるが、そもそも彼らの食事に肥満をもたらなさない効果があったことがわかってきて、これなら食事量を減らさなくてもダイエットができそうだというので、人気が出たということらしい。

旧石器時代は基本的に狩猟・採集文化なので、人々は自然の恵みをそのまま食べていた。動物の肉や魚介類を中心として、野菜、果物、ナッツ類などを食べていた。現代人の主食である米、麦、トウモロコシなどの穀類を摂取しなかったことは無論、塩や砂糖などの調味料もあまりとらなかった。カロリー源の55パーセントは肉や魚などの動物性蛋白質だったと推定されている。

人間が肥満するようになったのは新石器時代以降のことだという。その最大の原因は農耕の普及によって穀類のウェイトが高くなったことだ。これによって人間はカロリー不足から解放されたわけだが、過剰なカロリー摂取によって肥満するリスクを背負ってしまったというわけだ。それのみならず、さまざまな病気のリスクもかかえることとなった、と専門家はいっているそうだ。

ダイエットというと、食事制限のことが思い起こされてつらいイメージがつきものだが、パレオダイエットを採用すると、飢えてつらい思いをせずに体重を落とすことが出来る。

ところで我が縄文時代人についていえば、彼らは新石器時代の特徴である鋭利な石器を駆使していたが、食文化と言う点では、旧石器時代そのままの狩猟・採集文化の段階にとどまっていた。したがって日本人が肥満に悩むようになるのは、はるか時代が下がってからのことである。今でも欧米人に比べれば日本人には肥満が少ない。(写真は旧石器時代の人々:Spiegel から)






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