ネアンデルタール人の一部が現生人類の祖先と混血していたことは確かなようだが、その混血がネアンデルタール人が消滅した主要な原因だった可能性が高いと、アメリカの人類学者マイケル・バートン(Michael Barton)氏が主張している。
これまでの有力説によれば、ネアンデルタール人は約三万年前に消滅したが、それは主に地球の寒冷化が原因だった。ネアンデルタール人は迫りくる地球寒冷化のなかで、食料の減少や厳しい寒気といった環境の変化に適応できず消滅したというシナリオだ。
だが氏は、ネアンデルタール人は現生人類と交雑を繰り返すうちに、遺伝子圧倒(Genetic Swamping)のメカニズムが作用して、固有の種としての特徴を失い、現生人類に呑み込まれていった可能性が高いとの仮説を立てた。
アフリカからヨーロッパにやってきた現生人類の祖先は、食料を求めて広い範囲を彷徨するする過程で、ネアンデルタール人と出会い、彼らと交雑を繰り返した、そうこうするうちに遺伝子圧倒(Genetic Swamping)のメカニズムが働いた、そう推論するわけだ。
ドイツ・マックス・プランク研究所のベンツェ・ヴィオラ(Bence Viola)氏も、この仮説に関心を寄せている。しかしネアンデルタール人を消滅に追いやったのは、それだけが原因ではないだろうとヴィオラはいう。最大の原因はやはり、ネアンデルタール人が急激な地球寒冷化にうまく適応できなかったことだ。その中には、現生人類がアフリカから持ってきた病原体に対して、ネアンデルタール人が免疫を持たなかった事情も含まれる。(写真はナショナル・ジオグラフィックから)
(参考)Sex With Humans Made Neanderthals Extinct? By Brian Handwerk
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