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胎児は痛みを感じるか



胎児は痛みを感じるか? この問いに対してイギリスの産科・婦人科学会 Royal College of Obstetricians and Gynaecologists がこのたび一定の科学的回答を出した。それによれば妊娠24週目前後の胎児は痛みを感じることが無く、完全な沈静状態にあるということだ。その証拠として研究者たちは、この時期までの胎児には痛みを伝達する神経回路が形成されていないことをあげている。

何故こんなことが問題になるかといえば、アメリカを始めとする世界の堕胎禁止論の背景に、堕胎手術によって胎児が甚大な痛み乃至苦痛をこうむるという説が流布しているからだ。先般ネブラスカ州が各州に先駆けて堕胎禁止法を制定したが、その有力な根拠になったものは、妊娠20週目以降の胎児は、堕胎手術によって痛みを感じているのだから、こんな残酷な行為はないというものだった。

もっともネブラスカ州は、痛みとは別の基準もあげている。それは fetal viability といって、母体から離れても人間として成長していく可能性をいう。専門家によれば、それは妊娠後22-24週目前後であるとされている。だからこの時期の胎児を無理に堕胎することは、その胎児にとっては生命の可能性を奪われることを意味するといってよいかもしれない。

(上の写真:Newsweek提供は、妊娠20週目の胎児)






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